私には、本当はなかった経験があります。
本人はリアルに経験したと思い込んでいますが、具体的な時期や状況証拠が一切見当たらないのです。
・・・というわけで、今回は『本当はなかった奇怪な経験』と、その記憶が創られた過程を考察してみました。
なかった記憶その1
〜
ホテルの
スイートで中年男性と密会した〜
『久しぶりに近くに来たから会わない?』という電話を受けた私は、シティホテルの最上階の部屋に向かう。
部屋にはルームサービスの
ディナーが準備されており、素敵な中年男性と会食をする。
夜景がとてもきれいだったので、泊っていくことに。
3部屋続きのスイートの個室を与えられ、夜景を見ながら床についた。
〜状況〜
夕食のメニュー(フレンチ)も、味も、景色も部屋の
壁紙の模様も、かなり生々しく憶えています。
部屋に向かうまでの道のりを考えると、I駅近郊にあるホテルMだと思われるのですが、そこに3部屋続きのスイートはありません。しかも、夜景はN市のものでした。
〜考察〜3本の事実がミックスされて出来た?
@
小学生の頃、毎年
夏休みにはシティホテルのスイートに1週間ほど滞在する友達が
いました。その部屋に遊びに行った際、ルームサービスのディナー(フレンチ)をご馳走
になりました。
A10年くらい前、ある作曲家から電話がありました。『締め切りが近くて缶詰にされている
が、煮詰まってきて曲ができないから来ない?』と、夜景がきれいで有名なホテルに呼
ばれました。
B仕事の都合で国内を転々としている、素敵な中年男性の知人がいます。彼は近くに来
る際には必ず、夜景の素敵なお店を予約して、ディナーに招待してくれるのです。
なかった記憶その2
〜カラオケ付きのラブホテルで独りで熱唱〜
無性に歌いたかったが、疲れていたのでカラオケ付きのラブホテルに独りで入室。受付で『独りなんですけど。オッケーですか?』と聞いて、一番狭い部屋にしてもらった。適当に歌っていたが、疲れたら
ベッドに横になれるのでとても気分が良かった。
〜状況〜
近所の『2階に受付がある小さなラブホテル』という記憶だが、実際その場所は写真店で、2階は美容院。近所にそんなホテルは存在していない。
〜考察〜3本の事実がミックスされて出来た?
@一時期カラオケにハマッて、独りでカラオケボックスに出入りしていた。
Aラブホテル好きな私は、S駅近郊のラブホテルはほとんど知り尽くしている。広い部屋
から狭い部屋まで、構造には比較的詳しい方だ。
B知恵遅れの娘の親から相談を受けた。その娘の趣味はカラオケで、よく近所のカラオ
ケボックスに独りで歌いにいくらしい。全室カラオケ完備がウリになっているラブホテル
に、間違えて入ってしまったこともあるそうだ。
このように生々しく記憶していても、本当はなかったヴァーチャルな体験が、私にはたくさんあります。
以前、記憶のメカニズムの本で、いくつかの似たような事実が混ざったり、他人からすり込まれることによって、記憶(経験)が創られることは珍しくないことを知りました。
話は変わりますが、ライター適性で『他人の話は、誰がいつどのタイミングで話したかを完璧に憶えている』というのと『
アルバムで自分が写っている
写真を見れば、その時にあった出来事、その時の話題、写真に写っていない景色を思い出すことができる』というのがありますが、私の記憶力はモロにそれです。
日常のちょっとしたことを完璧に憶えているというのは、生々しい記憶が創られやすくなる弊害があるのかも知れません。
逆に、具体的に深くイメージして想像すれば、それを経験した事実として記憶することもできるわけです。
この体質は、これから大きなことを実行したい時に役立ちます。
初めての体験でも、記憶の中でシュミレーションが完璧になっているため、緊張が少なくすむのです。新鮮味はありませんが。
たまに、タレントの熱烈すぎるファンに『○○くんが昨夜、私の家に電話してきて・・・』なんて妄想を抱く方がいるようですが、これも思い込みによる創られた記憶かも知れません。
そう思うと、あまりバカにもできないですね。